保育士って何でこんなに給料が低いの?
保育士なら、必ず1回はこの悩みを持つのではないでしょうか?実際、低賃金に悩む保育士は多く、「貯金ができない」「生活が苦しい」という悩みをよく聞きます。
実際に、保育士の給料は低水準で、日本全体の給料と比べて平均年収が70万円ほど低いです。したがって、給料が低いことに保育士が不満を抱えるのはおかしくありません。
とはいえ、保育士の給料は少しずつあがってきているのは事実です。キャリアアップ制度や各種手当などにより、若手の保育士から給料アップを目指せるようになりました。
その他にも、給料をあげるテクニックをこの記事でわかりやすく紹介していきますね。大前提として、保育士の給料が低い原因を知っておくことは大切なので、その点もしっかり学んでいきましょう。
- 保育士の給料事情
- 保育士の給料が低い原因
- 保育士の給料をあげる方法
- 保育士の今後の給料について
保育士の給料事情を徹底解説!【上昇傾向だけどやっぱり低い】
まずは保育士の給料事情をみていきましょう。今の自分の給料が、平均より高いのか低いのかもここで把握できますよ。
- 保育士の手取り額の平均は20万円前後
- 保育士の給料は年々、右肩あがり
順番にくわしく解説していきます。
保育士の平均給料は手取りで20万円前後
厚生労働省、令和元年の賃金構造基本統計による、保育士の平均給料を下の表にまとめました。
年度 | 月収 | 賞与等 | 年収 |
---|---|---|---|
2019年 (令和元年) | 24万4500円 | 70万600円 | 363万4600円 |
保育士の平均月収は24万4500円。
しかしこの数字は所得税や健康保険料、厚生年金などが引かれる前の金額なので、実際にもらえる手取り額は20万円前後ということになります。これは平均の数字なので、手取りが15万円以下の保育士も中にはいるでしょう。
保育士の平均年収は、およそ363万円。保育士の処遇改善が進み、10年ほど前より50万円くらい年収が高くなっています。
しかし、国税庁の情報によると、日本全体の平均年収は正規雇用で433万円。保育士の現在の年収は、日本全体の年収と比べておよそ70万円も平均より低いことがわかります。
これらのデータから、保育士の給料の水準は今もなお、低い状況であると言えるでしょう。
保育士の給料は右肩上がり!過去3年でおよそ32万円アップしている
厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに、保育士の給料の推移を下の表にまとめました。
年度 | 月収 | 賞与等 | 年収 |
---|---|---|---|
2020年(令和2年) | 24万9,800円 | 74万7,400円 | 374万5,000円 |
2019年(令和元年) | 24万4,500円 | 70万600円 | 363万4,600円 |
2018年(平成30年) | 23万9,300円 | 70万7,700円 | 357万9,300円 |
2017年(平成29年) | 22万9,900円 | 66万2,500円 | 342万1,300円 |
これをみたら保育士の給料が年々、上昇しているのがわかりますよね。保育士の平均年収は、過去3年で32万3,700円もアップしています。
保育士の給料があがった背景には、政府が行った保育士の処遇改善が大きく影響しているでしょう。保育士の低賃金の問題が浮き彫りになり、国も今動き始めています。
ちなみに・・。
他業種の給料はこんな感じ!
- IT系の仕事で名高いシステムエンジニアの平均年収は 498万円(平均月収、42万円)
- 仕事内容の多忙さに共通点を感じる看護師 の平均年収は499万円。(平均月収、34万)
- 人を教育する立場として同じ一面をもつ大学教授の平均年収は1070万。(平均月収、65万)
あまりの格差に驚きますね・・。
都道府県ごとに給料は違う。上位は首都圏が占めている
都道府県ごとに、給料の違いがあるということも知っておきましょう。
下にある表は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに作成した「保育士の給料が高い県ランキング」です。
順位 | 都道府県 | 月収 (万円) | 賞与等(万円) | 平均年収(万円) |
---|---|---|---|---|
1 | 栃木県 | 29.14 | 85.27 | 434.95 |
2 | 千葉県 | 28.25 | 94.86 | 433.86 |
3 | 愛知県 | 25.69 | 95.34 | 403.62 |
4 | 神奈川県 | 26.95 | 79.21 | 402.61 |
5 | 京都府 | 27.07 | 75.01 | 399.85 |
6 | 東京都 | 27.76 | 65.37 | 398.49 |
7 | 兵庫県 | 26.53 | 74.31 | 392.67 |
8 | 大阪府 | 25.39 | 80.62 | 385.3 |
9 | 静岡県 | 24.72 | 85.52 | 382.16 |
10 | 青森県 | 24.57 | 86.98 | 381.82 |
11 | 宮崎県 | 24.04 | 91.18 | 379.66 |
12 | 岐阜県 | 23.36 | 95.33 | 375.65 |
13 | 長崎県 | 23.82 | 87.02 | 372.86 |
14 | 滋賀県 | 26.09 | 56.22 | 369.3 |
15 | 高知県 | 24.12 | 79.83 | 369.27 |
16 | 福井県 | 22.79 | 93.91 | 367.39 |
17 | 茨城県 | 23.57 | 83.24 | 366.08 |
18 | 埼玉県 | 24.85 | 65.93 | 364.13 |
19 | 奈良県 | 23.41 | 79.82 | 360.74 |
20 | 広島県 | 21.67 | 100.35 | 360.39 |
21 | 石川県 | 23.71 | 74.32 | 358.84 |
22 | 香川県 | 22.13 | 90.42 | 355.98 |
23 | 福岡県 | 24.02 | 67.63 | 355.87 |
24 | 三重県 | 23.07 | 78.53 | 355.37 |
25 | 鳥取県 | 23.11 | 77.33 | 354.65 |
26 | 富山県 | 23.38 | 67.1 | 347.66 |
27 | 山口県 | 21.25 | 92.09 | 347.09 |
28 | 鹿児島県 | 22.61 | 74.55 | 345.87 |
29 | 長野県 | 23.29 | 65.84 | 345.32 |
30 | 岩手県 | 21.6 | 83.79 | 342.99 |
31 | 宮城県 | 23.72 | 58.19 | 342.83 |
32 | 大分県 | 22.41 | 73.44 | 342.36 |
33 | 熊本県 | 22.08 | 75.56 | 340.52 |
34 | 沖縄県 | 23.14 | 59.64 | 337.32 |
35 | 徳島県 | 23.39 | 54.61 | 335.29 |
36 | 島根県 | 22.28 | 67.19 | 334.55 |
37 | 山梨県 | 21.89 | 70.29 | 332.97 |
38 | 佐賀県 | 22.11 | 63.07 | 328.39 |
39 | 群馬県 | 21.13 | 71.89 | 325.45 |
40 | 岡山県 | 23.11 | 47.96 | 325.28 |
41 | 新潟県 | 21.68 | 62.84 | 323 |
42 | 和歌山県 | 22.05 | 55.9 | 320.5 |
43 | 愛媛県 | 21.36 | 63.44 | 319.76 |
44 | 北海道 | 21.96 | 53.03 | 316.55 |
45 | 山形県 | 20.69 | 68.06 | 316.34 |
46 | 秋田県 | 20.81 | 62.07 | 311.79 |
47 | 福島県 | 21.64 | 40.99 | 300.67 |
上位に千葉県や神奈川県、東京都がランクインしていることから、処遇改善は首都圏の保育園の方が進んでいる印象です。
どうして、都道府県ごとに給料が違うんだろう?
と不思議に思った人もいるでしょう。
それは、最低賃金や国からの補助金が各都道府県で異なるため。補助金は保育園の稼働状況や地域の人口・経済状況に合わせて国から支給されます。県独自の保育政策によって、給料が加算されることもあるため、それもランキングの結果に反映されているでしょう。
保育士の給料が低い原因2選。低賃金の理由がこれで明確に
保育士の給料がなかなかあがらないのには、複雑な事情が絡んでいます。給料が低い原因を知った上で、給料をあげるための糸口を見つけていきましょう。
- 「公定価格」の仕組み
- 保育士が軽視された歴史
原因① 保育士の給料UPを妨げているのは「公定価格」の仕組み
公立保育士は、公務員として給料がもらえるので、ここでは民間で働く私立保育士の給料に着目してお話しますね。
保育士の給料の財源は、国からの「補助金」と保護者が支払う「保育料」。
補助金の額は、国が定めた「公定価格」によって決まりますが、この公的価格の設定の低さが、保育士の給料を下げてるひとつの原因になっています。
「公定価格」ってなに?
と思った方もいるでしょう。
公定価格とは簡単にいうと、「保育園を運営するために必要なお金」です。公定価格は、国のルールにのっとって金額を割り出しますが、この設定金額が実際の保育現場とつりあっていません。
例えば、公定価格の多くを占めている人件費。その人件費は、国が定めた子どもの人数に対する保育士の配置基準により支給されます。
子どもの年齢 | 必要な保育士の数 |
---|---|
0歳児 | 子ども3人に対して保育士1人必要 |
1.2歳児 | 子ども6人に対して保育士1人必要 |
3歳児 | 子ども20人に対して保育士1人必要 |
4.5歳児 | 子ども30人に対して保育士1人必要 |
しかし実際のところ、この指定された人数では保育を回すのはとても難しい状況。したがって、配置基準より保育士を増やして運営している保育園は多いでしょう。
残念なことに保育士が増えても「公定価格」は変りません。そのため、人件費の分配数が増えた分、一人当たりの給料は必然的に下がってしまうのです。
公定価格をもっとあげてよ!
と言いたくなりますよね。
しかし日本は今、財政に余裕がない状態。そのため公定価格引き上げてしまうと、財政を圧迫させることになるので簡単には変えられないのです。
もうひとつの財源である保護者からの保育料も、保護者の生活に関わってくることなので、値上げの実現は簡単ではないでしょう。
保育士の低賃金の問題には、このような複雑な仕組みが絡み合っているため、なかなか解決に進まないといえます。
原因②保育士が軽視された歴史が薄給を生んだ
保育士の給料が安い原因は「保育士の歴史」の中にも隠れています。
昔は「子育ては家庭でするもの」という考えが強く、保育園に子どもを預けることがよく思われていない時代。「誰でもできる仕事」「子育ての延長」と、保育士の仕事は周囲から軽く見られていました。また当時、社会的地位が低い女性が、保育士の大半を占めていたことも軽視されていたポイント。それらの時代背景によって、低賃金のベースが出来上がったと考えられます。
給料面だけでなく、保育士の労働環境も昔はひどいものでした。サービス残業は当たり前で、土日は持ち帰り仕事でプライベートがつぶれる保育士がとても多かったです。昔の労働環境が現代にも引き継がれ、今でもたくさんの保育士を悩ませています。
しかしネットの普及などにより、保育士の悪質な労働環境が世間に少しずつ取り上げられるようになりました。加えて保育士の重要性や専門的役割の認知が広まり、労働環境の改善も進んできています。今後さらに、保育士の社会的価値が高まっていくことを期待したいですね。
保育士の給料を今より高める方法4選
ここでは給料を上げる方法を4つ紹介します。
- 継続して働く。または経験を積んで、主任や園長に昇格する
- キャリアアップ制度を活用する
- 現場で活かせる資格を取得する
- 給料が安定している公立保育士になる
①継続して働く。または経験を積んで、主任や園長に昇格する
年齢ごとで、保育士の平均給料は異なります。年齢があがるにつれて、保育士の給料は高くなっていくため、年数を重ねることも給料UPの方法のひとつ。園によっては、継続年数に応じて昇給してくれるところもあるので、園独自の昇給ルールを利用して給料をあげていくのも良いでしょう。
年齢別、保育士の平均給料については、以下の表をご覧ください。
年齢 | 月給 | 賞与 | 年収 |
---|---|---|---|
20~24歳 | 20.96万円 | 48.58万円 | 3,001,000円 |
25~29歳 | 23.12万円 | 72.30万円 | 3,497,400円 |
30~34歳 | 24.02万円 | 75.66万円 | 3,639,000円 |
35~39歳 | 24.76万円 | 76.01万円 | 3,731,300円 |
40~44歳 | 25.24万円 | 81.49万円 | 3,843,700円 |
45~49歳 | 25.61万円 | 83.76万円 | 3,910,800円 |
50~54歳 | 27.88万円 | 96.66万円 | 4,312,200円 |
55~59歳 | 28.13万円 | 92.78万円 | 4,303,400円 |
60~64歳 | 26.43万円 | 78.07万円 | 3,952,300円 |
65~69歳 | 24.38万円 | 66.75万円 | 3,593,100円 |
経験を積んでいくと、役職をもらえるチャンスが増えます。園長や主任に昇格すると、役職手当がついて給料があがるので、昇格のタイミングがきたら積極的に挑戦してみるのも良いでしょう。
下の表は厚生労働省の統計を参考にしてまとめた、役職ごとの給料です。
月給 | 年収(賞与込み) | |
---|---|---|
施設長 | 632,982円 | 7,595,784円 |
主任保育士 | 561,725円 | 6,740,700円 |
保育士 | 303,113円 | 3,637,356円 |
月収は賞与1/12込を含む。年収は月額×12ヵ月分で算出
役職につくことで責任は一気に重くなりますが、昇給はモチベーションのひとつになることでしょう。
②キャリアアップ制度を活用してまずは5000円の給料UPを目指す
2017年より開始された「キャリアアップ制度」を活用すると、新たな役職がつき、給料が5千円〜4万円加算されます。
これまでは若手や中堅保育士にキャリアアップの機会はほとんどありませんでした。保育園は、主な役職が園長、副園長、主任の3つしかなく、昇格がしづらい環境。したがって、若手や中堅保育士の給料はなかなかあがらず、それが理由で保育士を辞めてしまう人も。しかしキャリアアップ制度の導入によって、たくさんの保育士に昇格のチャンスができました。
キャリアアップ制度で新設された役職は、「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」の3つ。
一定の条件をクリアし、必要数のキャリアアップ研修を修了することで、役職を得ることができます。
キャリアアップ研修は以下の8分野に分かれています。
- 乳児保育
- 幼児教育
- 障害児保育
- 食育・アレルギー
- 保健衛生・安全対策
- 保護者支援・子育て支援
- マネジメント研修
- 保育実践研修
それぞれの役職については以下のとおりです。
職務分野別リーダー・・認定後、月額5千円が支給。
支給条件:保育経験が概ね3年以上、6分野の中から1つの研修を修了し、役職が発令された保育士。
専門リーダー・・認定後、月額4万円が支給。
支給条件:保育経験が概ね7年以上、職務分野別リーダーを経験し、4分野以上の研修を修了。専門リーダーとして役職が発令された保育士。
副主任保育士・・認定後、月額4万円が支給。
支給条件:保育経験が概ね7年以上、職務分野別リーダーを経験し、マネジメントの研修+3分野以上の研修を修了。副主任保育士として役職が発令された保育士。
役職につけるのは研修を受けたもの全員ではなく、園によって上限があるのでその点は注意が必要です。
役職獲得の枠が空いているなら、キャリアアップ制度を積極的に活用して、給料UPを目指してみてください。
③特別手当がもらえる園なら保育関連の資格を取得する
保育に関する資格を取得することで、特別手当がもらえる場合もあります。
保育士におすすめの資格は、絵本専門士・リトミック指導員・こども環境管理士などがあります。また幼稚園教諭免許も今、需要の高い資格のひとつ。認定こども園が増え、保育教諭の専門性が求められているからです。
特別手当がもらえるかどうかは、園によって異なるので、資格を取得する前に、勤務先に確認するようにしましょう。
資格取得はスキルアップ・キャリアアップだけでなく、職業の選択肢を広げます。気になるものがあれば、資格の取得に挑戦するのもいいでしょう。
④給料が安定している公立保育士になる
私立の保育士で給料の低さに不満を抱えている人は、公立保育士を目指してみることもひとつの選択です。
以下の表は、内閣府が行なった調査をもとに、公立保育士と私立保育士の平均年収をまとめたもの。公立と私立の保育士の給料は以下のような違いがあります。
公立保育士の平均給料
月給 | 年収(賞与込み) | |
---|---|---|
施設長 | 63万2982円 | 759万5784円 |
主任保育士 | 56万1725円 | 674万700円 |
保育士 | 30万3113円 | 363万7356円 |
私立保育士の平均給料
月給 | 年収(賞与込み) | |
---|---|---|
施設長 | 56万5895 円 | 679万740円 |
主任保育士 | 42万2966円 | 507万5592円 |
保育士 | 30万1823円 | 362万1876円 |
公立保育士と私立保育士の違いがわからない人もいると思うので、簡単に説明します。
公立と私立の大きな違いは、園を運営する管轄元です。
公立保育園を運営しているのは自治体(市区町村)。つまり公立保育士は公務員になります。一方、私立保育園を運営しているのは、株式会社や社会福祉法人などの民間団体。管轄する大元が違うので、給料に関するあらゆるシステムが全く異なるのです。
公務員は、年功序列の賃金体制がとられているので、勤務数に応じて給料が着実にあがっていきます。この力が働いて、公立保育士の主任や施設長の給料が高くなっているのでしょう。
保育士資格を取得するだけでなく、公務員の採用試験にも合格することが必要。
公務員採用試験は難しく、倍率も高いといわれています。
公務員試験の年齢制限は各自治体で異なりますので、受験に挑む前には、受験資格の確認を忘れずにしましょう。
施設形態ごとによる給料の違いを、下の表にまとめました。気になる施設があったら、ぜひチェックしてください。
施設形態 | 月収 | 年収 |
---|---|---|
私立認可保育園 | 30.1万円 | 362.1万円 |
公立保育園 | 30.3万円 | 363.7万円 |
認定こども園(私立) | 27.9万円 | 335.9万円 |
小規模保育(A型) | 26.8万円 | 322.5万円 |
事業所内保育(A型) | 23.8万円 | 285.8万円 |
今すぐ給料アップを目指したいなら転職するのもあり
継続や昇格による給料アップがまだ先の人、または今の勤務先で給料をあげることが難しい人は、給料の高い保育園への転職を検討してみましょう。
給料をあげることが難しい保育園は、例えばベテランの保育士が多い園や手当が少ない園です。ベテラン保育士が多ければ、昇格の可能性は低くなり、手当が少ない園では頑張って資格を取得したり、経験年数を重ねたりしても給料に反映されない可能性があります。
このような環境では、自分の力で給料をあげていくのには限界があるので、今より給料高い園または昇給の体制が整っている園に転職した方が現実的と言えるでしょう。
先述しましたが、都道府県によって平均の給料に違います。「住む場所を変えても大丈夫!」という人は、給料の高い都道府県の求人をチェックしてみるのもいいかもしれません。
実家を離れ、賃貸物件に住む保育士に向けて、家賃手当を導入している園があります。「家賃を支払ったら、生活が苦しい」という保育士の不安を解消し、離職者を減らすための取り組みのひとつとしてこの手当が誕生しました。
支援をしてくれるのは、保育園または国や自治体。保育園では「家賃補助」、国や自治体では「社宅借り上げ制度」、自治体独自の取り組みでは「住宅支援制度」と、さまざまな形でのサポートが進んでいます。支援内容は園によって異なり、会社側が家賃の一部や全額負担してくれます。
家賃代の全額負担は、給料が低い保育士にとっては大きな負担になるはず。手元に少しでも多くのお金を残すために、家賃手当が導入されている保育園をぜひチェックしてみてください。
制度ごとに該当する対象者や補助金、ルールが異なりますので、あらかじめ詳細を確認しておきましょう。
保育士の給料は今後どう変わる?
保育士の労働環境の見直しが現在進んでいるため、今後も少しずつ給料もあがっていくことが期待できるでしょう。
保育士の処遇改善は、2013年から始まりました。2017年にはキャリアアップ制度の導入、そして2022年には、岸田総理が保育士の給料を9000円UPする政策を打ち出しましたね。これらの取り組みを通して、保育士の給料は着実に上がってきています。
2022年2月より始まった、岸田総理の保育士給料UPの取り組み。「9000円、月給が上がるらしい!」と保育士の間で大きな話題になりました。
しかしこの9000円の使い道は事業主によって決められます。全額を保育士に還元する園もあれば、事業主の判断で他の費用に回している園も。「楽しみにしていたのに給料に反映されていなかった」という人は、このシステムを理解しておくといいでしょう。
またこの補助金は、公定価格によって決まっていて、配置基準の保育士の人数分しか支給されません。そのため保育の質を大切にし、配置基準より多く保育士を雇っている保育園は、ひとりあたりの支給金が必然的に下がります。したがって、今回の岸田総理の政策は「保育士の給料が一律で上がる」わけではないのです。
ちなみにこの政策は2022年2月〜9月までの8カ月間のみ。しかし10月以降も継続することが前提で始まっているので、急な打ち切りはないと考えてもいいでしょう。
保育士の給料の低さはすぐには変わらない!自分にできることから始めて少しずつ給料をあげていきましょう!
保育士の給料の財源である国の補助金(公定価格)と保育料は、簡単に変更できるわけではないので、給料低賃金の問題はまだしばらくは続きそうです。
というわけで今回は、自分の力で給料をあげていく方法も一緒に紹介してきました。
- 経験を積んで、主任や園長に昇格する
- キャリアアップ制度を活用する
- 現場で活かせる資格を取得する
ぜひ参考にして、給料アップのスモールステップをふんでくださいね。