・子どもにイライラしてしまう自分が嫌だ
・子どもにすぐ怒ってしまう自分は保育士失格かな?
・なんでこんなにイライラしちゃうんだろ
子どもに優しくしたいと思っていても、ついイライラしてしまうことは誰にでもあります。
「怒ってばっかで子どもに申し訳ない」という罪悪感を感じて、保育の仕事が向いてないのかなと考える人もいるでしょう。
この記事では、「イライラしてしまう心理」や「イライラしてしまったときの対処法」を解説します。記事の内容をよく理解すれば、イライラとうまく付き合えるようになり、保育士としての自信を取り戻していくでしょう。
イライラは嫌な感情ですが、イライラする自分が気になるのは子どもを大切にしたい気持ちがあるから。つまりあなたには保育士としての素質が十分にあります。(ただの怒りん坊な人は、自分の言動に反省なんてしないので。)
はじめまして。保育士歴8年のあんと申します。
私もイライラする自分が許せずよく苦しんでいた者の一人です。しかしイライラの感情をしっかり受け止められるようになってから、心にゆとりが持てるようになりました。
子どもにイライラする人は保育士に向いてない?
結論から言うと、イライラするからといって「保育士向いてない」「保育士失格」ではありません。
保育士は一人で何人もの子どもを見ています。発達の個人差があり、予測不能な動きをする子どもの相手をするのはそう簡単なことではありません。
そのため、イライラを一切せずに仕事をするのは難しいでしょう。
この記事を読んでいるあなたは、イライラする自分をどうにかしたい気持ちを少なくとも持っているはずです。それらの感情は、「子どもを大切にしたい」「本当は子どもの良さに目を向けたい」という保育士魂をあなたが持っている証。
そのため、イライラする自分は保育士向いてないと決めつけるのはもったいないこと。
今回の問題は保育士サイド・子どもサイドで分けて考えていくことが大切なので、この記事では両者の目線でイライラについて深掘りしていきます。
なお、保育士向いてないという全般的な悩みを別記事「保育士向いてないと思ったら?人見知りな元保育士が対処法を伝授」で解説してるので、ぜひ覗いてみてください。
保育士がイライラしがちな子どもの行動例
保育士が子どもにイライラしてしまうのは、子どもが言うことを聞いてくれなかったり、思うように仕事が進まなかったりするときだと思います。
保育士がイライラしがちな、よくある状況を以下にまとめました。自分に当てはまるものがあるかチェックしてみてください。
- 部屋を走り回る
- 大きな声を出す
- 泣き止んでくれない
- 指示通りに動いてくれない
- 給食やお茶をひっくり返す
- してほしくないことばかりする
- 集団の輪を乱すような行動を取る
子どもだから仕方ないと思う反面、「なんでこんなに言うことを聞いてくれないの?」と怒りが湧いてくるでしょう。
このような行動を起こす子どもの心理は次の項目で解説します。
保育士がイライラしたら子どもの視点になってみる
子どもの視点になってみると、イライラの原因が見えてきます。
- 注目を浴びて愛情を得ようとしているのかも
- 大人の言葉を理解できていないのかも
- 子どもはただ楽しんでいるだけなのかも
順番に詳しく解説していきます。視点を変えて、自分のイライラを紐解いていきましょう。
①注目を浴びて愛情を得ようとしているのかも
1つ目は「注目を浴びて愛情を得ようとしているのかも」という視点。子どもは大人の愛を常に求め、さまざまな方法で大人の愛を確かめようとします。
その方法の一つが、机の上に登ったり、部屋を走り回ったりして保育士を困らせる行為。「危ないこと」「してはいけないこと」をすることで保育士の注目を浴び、声をかけてもらえます。
つまり、愛してもらいたい大人の気をひくために、怒られるようなマイナス行動を子どもはあえて起こしているのです。
対応に慣れていない保育士1年目や新人は特に、悩む機会が多いでしょう。
「ダメでしょ!」「いけない」など、マイナス的な声かけが最近多いなと感じたら、「すごいね!」「頑張ったね!」「すてきだね!」など前向きな声かけを増やすのを意識してみてください。
子どもがマイナス行動を起こすのは、「もっと僕・私を見て」という証。この欲求は、普段の頑張る姿やできたことを大人から認めてもらったり、褒めてもらえたりすることで少しずつ満たされていきます。
そもそも、子どもたちが机の上に登ったり部屋を走り回ったりするのは遊び込めない環境が原因かもしれません。そんなときは、環境や活動の見直しをしてみるのも良いでしょう。
②保育士の言葉を理解できていないのかも
2つ目は「子どもが保育士の言葉を理解できていないのかも」という視点。子どもからしてみると大人の言葉は難しく、言っていることがさっぱりわからないなんてこともあります。
例えば、「靴ちゃんとはいてね」と言われても「靴」の認識がまだわからない子もいます。または「靴=はく」のつながりがわからない子もいます。「ちゃんと、はく」の意味がわからず動けない子も中にはいるでしょう。
理解できる言葉がまだ少ない子どもにとっては、大人の話は高速で流れるただの音にしか聞こえていないかも。
つまり、言うことを聞いてくれない子どもや指示が通らない子どもは、ただ「大人が何を言っているのかわからない」「何をそんなに怒っているのかわからない」だけかもしれません。
話していることをよく理解してもらうためには、話すテンポをゆっくりにしてみたり、文章を短くしたりすると良いでしょう。
また言葉の理解力は個々で違うため、全員に同じように伝わるとは限りません。したがって、個々の発達に合わせて、伝え方を変えていくのもおすすめです。
③子どもはただ楽しんでいるだけなのかも
3つ目は、保育士にとっては困る行為でも「子どもはただ楽しんでいるだけなのかも」という視点。
例えば棚に登ったり、お茶をひっくり返したりする行動。
棚に登れば見える景色が変わり、子どもにとっては刺激的な遊びかもしれません。
お茶をひっくり返す行為は、子どもにとってはただの水遊び感覚の可能性もあります。
要するにやること全てが、子どもにとっては遊びなのかもしれませんね。
子どもの楽しむ気持ちを理解するかしないかで、その後の声かけや対応が変わってくるはず。
なので、マイナスに見える子どもの行動でも一度子ども目線になって考えてみることがおすすめです。
例えば先ほどの、棚に登る子のケース。「子どもにとってよじ登る遊びって楽しいよな」「視線が変わるだけでも子どもにとっては楽しい世界なんだろうな」こんな考えを持つことができます。
もちろん棚に登るのは危険なので、止めなくてはいけません。しかし楽しむ気持ちを理解していたら「高い視点を楽しめる他の遊びを用意しよう」「他の楽しい遊びに誘おう」など考え方の幅が広がるはずです。
「子ども目線になって考える」ことをぜひ、試してみてください。
保育士がイライラしたときの対処法4選
ここでは、イライラしたときの対処法を4つ紹介します。イライラと上手に向き合って、自分を責めることから卒業しましょう。
- 子どもと距離を置く
- 保育をもっと学ぶ
- イライラの原因が他にないか探す
- いろんな保育に触れる
対処法① 子どもと距離を置く
イライラしていると感じたら、子どもと距離を置いてみましょう。
時間と距離を置くことで、気持ちを切り替えられるはずです。
「イライラが理由で引き下がるなんてみっともない」と思うかもしれませんが、イライラは人間の自然な感情なので恥じるものではありません。
子どもと丁寧に向き合うためには、心を整えることも仕事の一つです。
対処法② 保育をもっと学ぶ
「子どもはこうあるべきだ」「これぐらいのことならできるはずだ」という固定概念を持っている人は少なくありません。
固定概念が強いと、言うことを聞いてくれない子どもに対してイライラしやすくなります。したがって、イライラを抑えたいなら、保育をもっと学んでみるのも良いでしょう。
保育を学ぶための方法としては、「保育の専門書を読む」「子どもの対応が上手い先輩保育士の声掛けを真似てみる」「保育の研修に参加する」などがあげられます。
保育を学ぶと、子どもを対応するテクニックが上がり、今までイライラしていた子どもの言動を許せることが増えるでしょう。
対処法③ イライラの原因が他にないか探す
仕事の疲れやストレスなどが原因で、イライラしやすくなっているのかもしれません。そのため、イライラの原因となっているものをケアしていくのも効果的です。
例えば、仕事における疲労やストレスの原因は以下のようなもの。
- 残業が頻繁にあり疲れがたまっている
- 先輩保育士と人間関係がうまくいっていない
- ひとり分の仕事量が多く精神的につらい
- 保育士が少なく子どもとゆっくり関われない
上記のような悩みは、工夫をしたり、考え方を変えたりすることで解決できます。しかし問題が常態化している場合は、転職が一つの手段になってくるでしょう。
ゆとりをもって子どもと関わりたいなら、環境も大切です。したがって、イライラしやすい原因は早めに取り除いていくようにしましょう。
対処法④ いろんな保育に触れる
イライラしてしまう原因の一つとして、今の保育理念が自分にあっていないのも可能性として考えられます。
そんなときは、いろんな保育に触れてみるのがおすすめです。自分が楽しいと思えるような保育が見つかるかもしれません。
例えば、好きな遊びを子どもたちが自由に選択できる自由保育に触れたとき。みんなで同じ活動に取り組む一斉保育しか知らない保育士にとっては、子どもの興味・関心を大切にする自由保育に楽しさを感じるかもしれません。
また、子どもの自主性や主体性を大切にした子ども主体の保育に触れたとき。大人の都合を優先した大人主体の保育しか知らない保育士にとっては、保育の奥深さを感じ保育の魅力を感じるかもしれません。
自分にあう保育、楽しめる保育、勉強になる保育は、イライラの感情と自分を切り離してくれる要因の一つになるでしょう。
転職を通して他の保育を学んだり、休日に保育施設にボランティアに行ったりするなどしてぜひ保育の幅を広げてみてください。
まとめ:保育士向いてない人はイライラする自分をそもそも責めません
繰り返しになりますが、イライラする自分を責める気持ちは、子どもへの罪悪感やもっと優しい保育士になりたい気持ちからきているでしょう。
それは、あなたは子どものことをよく考えている証拠です。
保育士に向いていない人は、イライラしている自分を気にも止めません。
イライラを少しでも緩和させたい方は、当記事で紹介した以下の「子どもの視点になって考える方法」と「イライラの対処法」を試してみてください。
【子どもの視点になって考える】
- 注目を浴びて愛情を得ようとしているのかも
- 大人の言葉が理解できていないのかも
- 子どもはただ楽しんでいるだけなのかも
- 発達過程にみられる行動なのかも
【イライラの対処法】
- 子どもと距離を置く
- 保育をもっと学ぶ
- イライラの原因が他にないか探す
- いろんな保育に触れる
イライラすることは、誰にでもある感情です。したがって、イライラする自分を責める必要はありません。
大事なのはイライラの原因を探り、対処していくこと。
保育中のイライラは、保育士としてステップアップするチャンスでもあります。ですからこれを機に、自分の気持ちとぜひゆっくり向き合ってみてください。