
・保育士の平均給料ってどれくらい?
・保育士の給料はなんで安いの?
・保育士の給料はこれから上がるの?
「保育士の給料は安い」とネットやテレビなどで言われているように、保育士の給料は全職種の給料と比較してみると低めです。低収入が原因で、保育士を辞めてしまう人も少なくありません。
この記事では、
- 保育士の平均月収や年収の手取り
- 給料がなかなか上がらない原因
- 給料を上げるために必要な知識
など、「保育士の給料事情」をあらゆる視点で解説します。
この記事を最後まで読めば、保育士の給料の全体像がわかり、給料を上げるためのステップを自分で踏めるようになりますよ。
保育士の処遇改善の取り組みは地域や各保育園で異なります。それが給料に大きく反映するのでしっかりポイントを押さえておきましょう。



初めまして。この記事を書く、保育士歴8年のあんと申します。
後半で紹介する処遇改善のための手当や制度も、給料アップには欠かせない要素なので、ぜひ最後までお読みください。
保育士の給料事情【月収・年収・手取り・ボーナス】


ではまずは保育士の給料事情をみていきましょう。
保育士の平均月収や年収の手取り、また気になるボーナスについて深掘りしていきます。
保育士の月収と年収|手取りだといくら?
厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに、令和2年、保育士の平均月収・年収・賞与を以下にまとめました。
年度 | 月収 | 賞与等 | 年収 |
---|---|---|---|
2020年(令和2年) | 24万9800円 | 74万7400円 | 374万5000円 |
上記の結果は、保険料や税金が引かれる前のもの。およその手取りは、以下の通りです。
- 月収:19万9840
- 年収:299万6000
※手取りは、全体の75%〜85%と言われているので、ここでは上記のデータに0.8を掛けて計算しています。
手取りの平均月収は、20万円以下。年収は、300万円以下という結果になります。
しかしこれは、あくまで平均の数字。手取りが15万円以下で低収入に悩む保育士も中にはたくさんいます。
保育士の手取りについてもっと知りたいという方は、「【2022年最新】一目でわかる保育士の給料【手取りの早見表】」の記事にも目を通してみてください。
手取りが13万円で悩む保育士の真相と問題解決については、「保育士の手取り13万はガチ話。給料を上げる方法はズバリ〇〇!」の記事でも解説しています。
保育士の年収は右肩上がり
厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに、保育士の給料の推移を下の表にまとめました。
年度 | 月収 | 賞与等 | 年収 |
---|---|---|---|
2020年(令和2年) | 24万9,800円 | 74万7,400円 | 374万5,000円 |
2019年(令和元年) | 24万4,500円 | 70万600円 | 363万4,600円 |
2018年(平成30年) | 23万9,300円 | 70万7,700円 | 357万9,300円 |
2017年(平成29年) | 22万9,900円 | 66万2,500円 | 342万1,300円 |
表をみてわかる通り、保育士の年収は年々上昇。2017年と2020年を比較してみると、過去4年で32万円以上も年収がアップしています。
年収が上がった主な要因は、国が打ち出した保育士の処遇改善によるもの。低収入が原因で辞めていく保育士を食い止めようと、国がさまざまな対策を練っています。
とは言っても、保育士の年収は全体的にみてもまだまだ低いと言えるでしょう。
国税庁の調査で、日本全職種の平均年収は433万という結果が出ているので、保育士の年収と比較すればその差は大きいことがわかります。



保育士の処遇改善と年収アップに今後も期待したいですね。
保育士の年収事情や年収の上げ方については以下の記事で詳しく解説しています。
》保育士の平均年収が100万も違うワケ【公立・私立、地域、年齢】
保育士のボーナス
保育士のボーナスは、公立保育園と私立保育園で対応が異なります。
公立保育園で働く保育士は公務員なので、年2回必ずボーナスが支給されます。
支給額は各自治体で異なりますが、令和元年の調査によると東京都の公務員のボーナスは月給の4.65ヵ月分。千葉県は、月給の4.50ヵ月分。大阪府は、月給の4.50ヵ月分のボーナスが支給されました。



ボーナスの安定性は、公務員の強みですね。
一方、私立保育園は、ボーナスを支給する義務はありません。しかし働くモチベーションを維持するために、ほとんどの保育園でボーナスを支給しているでしょう。
私立保育園ではボーナスの支給回数や支給額も自由に決められるので、ボーナスなし〜月収の4ヵ月分までとボーナスの設定は幅広いです。
保育士のボーナス支給額やボーナスがもらえる園選びの方法は以下記事で詳しく解説しています。
》【2022年最新】保育士のボーナスはいくら?平均金額や支給日を解説
条件別でみる保育士の給料


ここでは条件別に、保育士の給料をみていきます。
条件別による給料の違いがわかれば、キャリアアップや転職の参考になるでしょう。
- 役職別
- 年齢別
- 都道府県別
- 保育施設別
役職別
以下の表は、内閣府が行なった調査をもとに、公立保育士と私立保育士の平均年収をまとめたものです。
公立保育士
公立 | 月給 | 年収(賞与込み) |
---|---|---|
施設長 | 63万2982円 | 759万5784円 |
主任保育士 | 56万1725円 | 674万700円 |
保育士 | 30万3113円 | 363万7356円 |
私立保育士
私立 | 月給 | 年収(賞与込み) |
---|---|---|
施設長 | 56万5895 円 | 679万740円 |
主任保育士 | 42万2966円 | 507万5592円 |
保育士 | 30万1823円 | 362万1876円 |
役職のつかない保育士の給料は、公立・私立で大きな違いはありません。
しかし主任保育士や施設長などの役職がつくと、公立保育士の給料は一気に高くなります。
その理由は、公務員である公立保育士には年功序列の給料システムがあり、長く働いた分だけ昇給していくから。
働いた年数と役職によるキャリアアップによって、公立保育士の給料は高くなっています。
年齢別
以下の表は、年齢別でみた保育士の平均給料です。
年齢 | 月給 | 賞与 | 年収 |
---|---|---|---|
20~24歳 | 20.96万円 | 48.58万円 | 3,001,000円 |
25~29歳 | 23.12万円 | 72.30万円 | 3,497,400円 |
30~34歳 | 24.02万円 | 75.66万円 | 3,639,000円 |
35~39歳 | 24.76万円 | 76.01万円 | 3,731,300円 |
40~44歳 | 25.24万円 | 81.49万円 | 3,843,700円 |
45~49歳 | 25.61万円 | 83.76万円 | 3,910,800円 |
50~54歳 | 27.88万円 | 96.66万円 | 4,312,200円 |
55~59歳 | 28.13万円 | 92.78万円 | 4,303,400円 |
60~64歳 | 26.43万円 | 78.07万円 | 3,952,300円 |
65~69歳 | 24.38万円 | 66.75万円 | 3,593,100円 |
年齢が上がるにつれて、給料も高くなっています。これは私立保育園の昇給制度によって、同一法人で働く保育士の給料が上がっていくからでしょう。
入社間もない20〜24歳の新人保育士の月収はおよそ21万円で、手取りに換算すると17万円ほどです。
中堅保育士として活躍する、30〜34歳の平均月収は約24万円。手取りに換算すると、20万円前後になるでしょう。
もっとも給料が高い年齢は、55〜59歳です。平均月収は28万円ほどで、手取りに換算すると22万円ほど。
60代で給料が下がるのは、再雇用という形で役職なしで働く人が増えるからだと考えられます。



20代は手取りが特に低いので、給料の低さに悩む時期でしょう。
都道府県別
下にある表は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査をもとに作成した「保育士の年収が高い県ランキング」です。
順位 | 都道府県 | 月収 (万円) | 賞与等(万円) | 平均年収(万円) |
---|---|---|---|---|
1 | 栃木県 | 29.14 | 85.27 | 434.95 |
2 | 千葉県 | 28.25 | 94.86 | 433.86 |
3 | 愛知県 | 25.69 | 95.34 | 403.62 |
4 | 神奈川県 | 26.95 | 79.21 | 402.61 |
5 | 京都府 | 27.07 | 75.01 | 399.85 |
6 | 東京都 | 27.76 | 65.37 | 398.49 |
7 | 兵庫県 | 26.53 | 74.31 | 392.67 |
8 | 大阪府 | 25.39 | 80.62 | 385.3 |
9 | 静岡県 | 24.72 | 85.52 | 382.16 |
10 | 青森県 | 24.57 | 86.98 | 381.82 |
11 | 宮崎県 | 24.04 | 91.18 | 379.66 |
12 | 岐阜県 | 23.36 | 95.33 | 375.65 |
13 | 長崎県 | 23.82 | 87.02 | 372.86 |
14 | 滋賀県 | 26.09 | 56.22 | 369.3 |
15 | 高知県 | 24.12 | 79.83 | 369.27 |
16 | 福井県 | 22.79 | 93.91 | 367.39 |
17 | 茨城県 | 23.57 | 83.24 | 366.08 |
18 | 埼玉県 | 24.85 | 65.93 | 364.13 |
19 | 奈良県 | 23.41 | 79.82 | 360.74 |
20 | 広島県 | 21.67 | 100.35 | 360.39 |
21 | 石川県 | 23.71 | 74.32 | 358.84 |
22 | 香川県 | 22.13 | 90.42 | 355.98 |
23 | 福岡県 | 24.02 | 67.63 | 355.87 |
24 | 三重県 | 23.07 | 78.53 | 355.37 |
25 | 鳥取県 | 23.11 | 77.33 | 354.65 |
26 | 富山県 | 23.38 | 67.1 | 347.66 |
27 | 山口県 | 21.25 | 92.09 | 347.09 |
28 | 鹿児島県 | 22.61 | 74.55 | 345.87 |
29 | 長野県 | 23.29 | 65.84 | 345.32 |
30 | 岩手県 | 21.6 | 83.79 | 342.99 |
31 | 宮城県 | 23.72 | 58.19 | 342.83 |
32 | 大分県 | 22.41 | 73.44 | 342.36 |
33 | 熊本県 | 22.08 | 75.56 | 340.52 |
34 | 沖縄県 | 23.14 | 59.64 | 337.32 |
35 | 徳島県 | 23.39 | 54.61 | 335.29 |
36 | 島根県 | 22.28 | 67.19 | 334.55 |
37 | 山梨県 | 21.89 | 70.29 | 332.97 |
38 | 佐賀県 | 22.11 | 63.07 | 328.39 |
39 | 群馬県 | 21.13 | 71.89 | 325.45 |
40 | 岡山県 | 23.11 | 47.96 | 325.28 |
41 | 新潟県 | 21.68 | 62.84 | 323 |
42 | 和歌山県 | 22.05 | 55.9 | 320.5 |
43 | 愛媛県 | 21.36 | 63.44 | 319.76 |
44 | 北海道 | 21.96 | 53.03 | 316.55 |
45 | 山形県 | 20.69 | 68.06 | 316.34 |
46 | 秋田県 | 20.81 | 62.07 | 311.79 |
47 | 福島県 | 21.64 | 40.99 | 300.67 |
都道府県で給料に違いが生じるのは、最低賃金や処遇改善の取り組み方がそれぞれ異なるからです。
千葉や東京、大阪などの首都圏が上位にランクインしているのは、最低賃金が地方に比べて高い傾向にあるからでしょう。また保育士の処遇改善にも積極的に取り組んでいることが伺えます。



給料アップを目指して首都圏に引っ越す保育士も多いでしょう。
保育施設別
以下の表は、保育施設別でみた保育士の平均給与です。
施設形態 | 月収 | 年収 |
---|---|---|
私立認可保育園 | 30.1万円 | 362.1万円 |
公立保育園 | 30.3万円 | 363.7万円 |
認定こども園(私立) | 27.9万円 | 335.9万円 |
小規模保育園(A型) | 26.8万円 | 322.5万円 |
事業所内保育園(A型) | 23.8万円 | 285.8万円 |
上記5施設の中で、1番給料が高いのは公立保育園でした。次いで、高いのは私立の認可保育園です。
認定こども園、小規模保育園、事業所内保育園は、規模が小さいゆえに補助金が少ない園が多いとのこと。補助金の少なさも給料の低さに繋がっているのかもしれません。
保育士の給料が安い原因


ここからは、保育士の給料が安い原因を深掘りしていきます。
- 仕事内容と給料が見合っていないと感じる
- 国の設定金額が低い
順番に解説していきますね。
仕事内容と給料が見合っていないと感じる
先述しましたが、保育士の給料は年々上がってきています。それでもなお、「保育士の給料は低い」と不満の声が止まないのはなぜでしょう。
その原因の一つは、仕事内容と給料が見合っていないから。
保育士は子どもの命を預かるという責任の重い仕事。ちょっとしたことでも子どもの命を落とす可能性があるため、仕事中に気を緩めることはできません。
また一人で抱える仕事量が多く、必然的に残業になりやすい職業です。
精神的・体力的に大きな負担がかかる仕事なのに、多くの保育士が手取り20万円以下という状況。



「給料が割にあっていない」と感じてしまうのも無理はありません。
国の設定金額が低い
保育士の給料の大元は、国から支給される運営費。つまり、支給される運営費が上がらない限り、保育士の給料も上がらない仕組みです。
しかし国は、運営費の設定金額をなかなか上げてくれません。
理由としては、保育にかけるお金を国が重要視していないことがあげられます。
国が保育の仕事を重要視していないのは、国が定めた保育士の配置基準をみればわかるでしょう。
実際に配置基準の保育士だけでは、仕事を円滑に回せません。ゆっくり子どもと向き合える環境ではないので、保育の質を向上させるのが難しいでしょう。
そのため、配置基準よりも多く保育士を雇っている園がたくさん存在します。
しかし保育士を増やしたところで、国は配置基準に合わせた運営費しか支給してくれません。
そうなると限られたお金の中から人件費をやりくりするしかなく、必然的に保育士一人当たりの給料は下がってしまいます。



保育園運営費の設定金額を国が上げてくれれば問題は解消しますが、国はいま財政赤字な状態。そのため、簡単には動いてもらえないのが現実でしょう。
そもそも保育士の給料が安くて当たり前になったのには、保育士が軽視されていた時代背景にあります。詳細は以下記事で解説しているので、ぜひ目を通してみてください。
》保育士の給料は安くて当たり前と言われる4つの理由と給料のあげ方
今後の保育士給料|引き上げはある?


大幅に給料は上がらなくとも、保育士の処遇改善に向けて少しずつ国も動いています。
今後の給料引き上げに直結する処遇改善は、政府が打ち出した「保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業」
これは2022年2月から実施されたもので、保育士の収入を3%、月収に換算しておよそ9000円の給料底上げを目指した取り組みです。



実施期間は、2022年2月〜9月までとされていますが、10月以降も同程度の対策が取られる予定です。
ただしこの資金は、事業主の判断で他の費用に回すこともできるので、保育士の給料が一律で上がるわけではありません。
給料を上げるにはキャリアアップ制度の活用が効果的


給料を上げる効果的な方法は、キャリアアップ制度の活用です。
このキャリアアップ制度は、若手保育士・中堅保育士のキャリアアップしやすい環境を作るために作られました。
これまで保育園は、園長、副園長、主任と役職の枠が少なく、キャリアアップを目指すのが難しい環境でした。そのため、キャリアアップできないまま保育士を辞めてしまう人も多かったです。
そこで新たに、「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」3つの役職がキャリアアップ制度で誕生しました。



役職手当がつくので、給料アップを目指したい保育士には嬉しい制度ですね。
制度を活用できるのは、保育士経験が3年以上の者。各役職ごとに必要な研修を受け、役職が発令されれば以下の手当が見込めます。
副主任/専門リーダー…月額最大4万円支給
職務分野別リーダー…月額最大5千円支給
ただし必ずしも満額支給されるとは限りません。事業主が支給金を自由に分配できるシステムになっているのでその点の理解は必要です。
手当の力も保育士の給料に大きく影響する


給料以外に支払われる手当も収入に大きく影響します。ここでは、保育園でよく支給される3つの手当をご紹介。
①資格手当
資格手当がもらえる対象は、保育士資格を持っている人。支給金額は、5000〜15,000円と園によって異なります。
②特殊業務手当
特殊業務手当とは、主に行事で忙しい時期に支給される手当。保育園の行事が近づくと、準備や練習で保育士の仕事は一気に忙しくなるため、負担を考慮して手当が支給されます。
ただし、手当がつかない園も多いので、「あったら嬉しい」くらいに捉えておくと良いでしょう。
③住宅手当
住宅手当がもらえるのは、賃貸の家に住む保育士が対象。家賃の何割かを保育園側が負担してくれます。引っ越し代の一部を負担してくれる園もあるそうです。
賃貸の家に住む保育士には、国や自治体が家賃の負担をしてくれる「借り上げ社宅制度」の活用もおすすめ。補助金は、家賃相場により地域ごとで異なります。多いところだと最大8万2,000円を補助してもらえるので、家賃相場が高い首都圏で働く保育士も増えました。



これから就職・転職する方は特に、求人先の手当を必ずチェックしましょう。
まとめ:保育士の給料は低い。だから制度や手当の活用が欠かせない
保育士の給料は、管轄先や年齢、都道府県などにより平均給料が違います。
保育士の給料は、全体的に上がってきているものの、それでも水準はまだ低めです。
子どもの命を預かるという責任の重さに対しても、見合った給料とは言えないでしょう。
給料を上げるためには制度や手当の活用が欠かせません。以下は、この記事で紹介した制度や手当です。
- キャリアアップ制度
- 借り上げ社宅制度
- 資格手当
- 特殊業務手当
- 住宅手当
これから就職や転職を考えている方は、制度や手当が整った保育園を探してみましょう。
現在勤めている園で給料アップを目指したいなら、キャリアアップ制度の活用や継続勤務による昇給がおすすめです。