保育士は年度途中に退職できる?
労働環境の不満や体調不良が原因で、年度末まで仕事をするのが耐えられないと思う人もいるでしょう。しかし保育園のクラスは、年単位で設定されているので途中で辞めてもいいのか迷うところ。
結論から言うと、保育士が年度途中で仕事を辞めるのは可能。労働者の退職申請は、受け入れる義務があると民法で定められています。ただし、一般的に「無責任」「自分勝手」というイメージがあるので周囲から良く思われません。
そこで今回は「保育士が円満退職できるコツ」を解説します。ハードルの高い退職を成功させるためにも、ぜひ参考にしてください。
その前に、保育士が年度途中で退職できる理由をもう少し深掘りしていきましょう。
保育士が年度途中で退職するのは可能
冒頭でお話したとおり、保育士が年度途中で退職するのは可能で、民法では以下のように定めています。
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
e-gov法令検索/民法第627条1項
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
要するに、2週間前に申告すれば退職できます。
とはいえ、保育士が年度途中で退職するのは一般的に推奨されていません。
クラス制の保育園で担任が突然抜けてしまうと、子どもや保護者に不安や不信感を与える可能性があり、仕事を引き継ぐ職員にも大きな負担をかけるからです。
途中退職を選択する場合は、人々の信頼を損ねたり、反感を食らったりするリスクがあることを想定しておきましょう!
保育士が年度途中で円満退職する5つのコツ
年度途中の退職は引き止められたり、申告後に人間関係の悪化したりとトラブルに発展するケースも少なくありません。なるべく問題なく辞められるように、円満退社のコツをおさえておきましょう。
- 退職時期を考慮する
- 気持ちを固めてから話す
- 引き継ぎをしっかり行う
- しっかりと挨拶をする
- 転職のプロに相談する
コツ①退職時期を考慮する
まずは退職時期を考慮しましょう。
民法上「2週間前の申告で退職は受理される」とありますが、もっと余裕を持って伝えるのがベスト。退職を受け入れるにあたって、園側は人員を新たに確保し、引き継ぎを行わなくてはならず時間を必要とするからです。
また話を持ちかけるタイミングも大切。ゆっくり話を聞いてもらうためにも、できれば行事後の落ち着いた時期を選びましょう。
特に忙しい行事はコレ!
- 運動会
- 発表会
- 卒園式
相手を気遣う気持ちがあれば、よりよい話し合いができるはず!
「早めに伝えると残りの期間が気まずい…」という悩みも出てくるかもしれませんが、円満退社を目指すなら相手や会社を考慮する気持ちは欠かせません。
コツ②気持ちを固めてから話す
退職の話を上司にする際は、しっかりと気持ちを固めてから話しましょう。自分の意思をまっすぐに伝える姿を示せば、真剣に話を聞いてもらえるはずです。
退職理由は、内容によって「正直に話す」か「事実を伏せて伝える」かを分けましょう。
例えば、以下のような場合は止むを得ない事情なので正直に伝えても問題ありません。
- 結婚やパートナーの転勤、両親の介護などのライフステージの変化
- 精神的な負担による体調不良
一方、退職理由が「残業が多い」「休憩がない」といった職場の不満であれば正直に話すのはおすすめできません。
上司に「改善してみるから考え直して」「体制整えてみるから待ってて」などと言われ、引き止められやすいです。
このような場合は、「キャリアアップを目指したいから」「新しい仕事にチャレンジしたいから」など前向きな理由を伝えると納得が得られやすいでしょう。
なお、入社時に「20××年×月×日まで働きます」と契約を結んでいる場合は、途中退職は原則不可で、それを理由に引き止められる可能性もあります。
そんなときは以下の民法が有効↓
(やむを得ない事由による雇用の解除)
e-gov法令検索/民法第628
第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
要約すると、体調不良などのやむを得ない事情がある場合は、すぐに契約が解除できるということ。言いくるめられないためにも、辞められる権利が自分にあるのを覚えておきましょう。
コツ③引き継ぎをしっかり行う
辞めるのが決まったら仕事の引き継ぎを行なって行きましょう。最後まで責任をもって働くかどうかで周囲の評価が変わってきます。
- クラスの子どもの特徴や課題を伝達する
- 保護者の特徴を伝達する
- 担当行事や係の進行状況を伝達する
詳細を以下にまとめました。
【子ども・保護者の引き継ぎ】
クラスの子どもと保護者の引き継ぎを行います。伝達する際は、名簿や個人記録票を見ながら進めると、見落としもなくスムーズに伝達できるでしょう。
特に食物アレルギー・熱性けいれんをもつ子どもの情報は、命に関わることなので丁寧に伝えてください。発達が気になる子どもや対応が難しい保護者の情報も重要事項なのでしっかり伝えましょう。
【担当行事や係の引き継ぎ】
担当行事や係については、主に以下の内容を引き継ぎます。
- 仕事内容
- 仕事の進行状況
- 必要な備品と保管場所
まだ未着手の仕事でも、自分の中での計画や展望があれば伝えるべき。何も言わずに託された相手は「丸投げされた」と怒りを感じかねません。
できる限りの引き継ぎをして最後の職務を果たせば、あなたの選択を認めてくれる人がきっと増えるはずです。
コツ④しっかりと挨拶をする
挨拶のタイミングは上司から指示されるケースが多いです。その時期になったら、これまでお世話になった人々に感謝の気持ちを込めて挨拶をしましょう。
挨拶をする相手
- 子ども
- 保護者
- 職員
なお、挨拶では退職理由やこれまでの感謝の気持ちを伝えますが、退職理由は事情によって内容を伏せるべき。利用者である子どもと保護者には特に配慮が必要で、伝え方によっては大きな不安を与えてしまいます。
なるべく心配をかけないように、どのように伝えるかを事前に上司と話し合っておくといいでしょう!
コツ⑤転職のプロに相談する
年度途中の退職をスムーズに進めたいなら、転職エージェントを頼るのもありです。
辞めるべき状況にいるのにも関わらず、退職を言い出せない人も少なくありません。年度途中の退職は、周囲の目が気になったり、今後の就職に不安を感じたりと精神的負担が大きいからです。
【転職エージェントとは】
求人先とあなたの間に担当者が入り、転職活動のサポートをしてくれる会社。あなたの希望条件にあう求人を紹介してくれるのはもちろんのこと、面接の日程調整や労働条件の交渉などといった自分ではやりにくい求人先とのやりとりも行なってくれる。
担当者の多くが保育業界に詳しい人たち。途中で退職をしたい保育者の気持ちをよくわかっているはずです。退職の伝え方や伝えた後の過ごし方など、具体的な相談にも乗ってもらえるでしょう。
孤独の戦いでメンタルをすり減らす人も少なくありません。一人で悩まずプロと一緒に乗り越えていきましょう。
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どの転職サイトも登録・相談が無料なので、まずは気軽に問い合わせてみてください。
まとめ:保育士は年度途中で退職は可能
というわけで、保育士は年度途中の退職は可能です。
しかし途中で辞めれば、たくさん迷惑をかけるのも事実。あなたの選択を受け入れられず冷たい態度をとる職員や保護者も出てくるかもしれません。
少しでも理解してもらえるように、誠心誠意の態度とできる限りの配慮を心がけましょう。
- 退職時期を考慮する
- 気持ちを固めてから話す
- 引き継ぎをしっかり行う
- しっかりと挨拶をする
- 転職のプロに相談する
気持ちがブレていると上司からの引き止めに負けたり、簡単に言いくるめられたりします。年度途中の退職を果たしたいなら、しっかりと意思を固めておきましょう。
「一人で頑張るのが心細い」という人は、転職のプロに頼るのもありです。適切なアドバイスをもらいながら、着実に退職に向かっていけるでしょう。