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【2023年最新】保育士のキャリアアップ研修の仕組みを徹底解説

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保育士のキャリアップ制度について詳しく知りたい

キャリアアップするとどんな良いことがあるの?

保育士のキャリアアップ研修とは、保育士の処遇改善と専門性向上を目的として作られた制度のこと。新しい役職が設立され、若手・中堅保育士がキャリアアップを目指しやすくなりました。

しかしキャリアアップ研修は、国が経過措置を計りながら少しずつ導入を進めてきた制度なので、各地域・各保育園で浸透性にばらつきが発生。「制度の存在は知っているけど、具体的な詳細はわからない…。」という人もいるでしょう。

そこで今回は保育士のキャリアアップ研修の基礎知識から受講方法までを網羅的に解説します。2023年から始まったキャリアアップの必須化についても解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

保育士のキャリアアップ研修とは?

人形をもって微笑む保育士

まず保育士のキャリアアップ研修とは、保育士の処遇改善と専門性向上を目的として厚生労働省が定めた処遇改善制度のこと。

従来、保育園には「園長」「主任保育士」の2つしか役職がありませんでしたが、キャリアアップ制度に伴い新たに「副主任保育士」「専門リーダー」「職務分野別リーダー」の役職が創設。それにより若手や中堅保育士もキャリアを積み上げやすくなりました。

また役職に応じて国から補助金(役職手当)がおりるため、キャリア獲得とともに給料アップも同時に叶えられる仕組みです。

最大月4万円程度の処遇改善が見込まれるため、保育士のキャリアアップ研修は保育士の低賃金問題におけるマイナスイメージを緩和する大きな取り組みであると言えるでしょう。

2023年(令和5年)より保育士のキャリアアップ研修が必須化

笑顔を見せる保育士

なお、2023年より保育士キャリアアップ研修の修了要件が必須化になりました。

今までだって研修受講は必須だったんじゃないの?

何度か研修を受けた人や、すでに役職手当をもらっている人のなかには、このような疑問を持たれたかもしれません。

実は2017年〜2022年までのキャリアアップ研修は経過措置として進められてきました。そのためキャリアアップ研修修了の有・無に関わらず、受講対象者の申告さえすれば施設側は国から補助金がもらえていました。それが2023年からキャリアアップ研修が必須化となり、研修を受けた確実な証明がなければ補助金は支給されません。

ただし2023年4月に副主任または専門リーダーとして就任する保育士に対して「必須研修をすべて年度内に受けなさい!」となると負担がかかってしまうため、国は以下のような段階的措置を設けました。

キャリアアップ研修の仕組み

つまり、令和4年(2022年)の3月までに1分野の研修を修了している状態が必須とされ、令和8年(2026年)までに4分野の研修を修了していなくてはなりません。

一方で、1分野の研修修了が必要な職務分野別リーダーは1年遅れの令和6年度(2024年度)からの適用です。

キャリアアップ研修の仕組み

令和6年4月に職務分野別リーダーとして就任される保育士は、令和5年の3月までに1分野の研修を修了しておくのが条件になります。

定められた年度までに指定された分野数をクリアしていないと、新役職として認められず国からの補助金も打ち止めに。着実にキャリアを積みあげて昇給を目指すためにも園と協力して計画的に研修を受講していきましょう。

保育士がキャリアアップ研修を受ける3つのメリット

ガッツポーズをする保育士

次に、保育士がキャリアアップ研修を受ける3つのメリットを紹介します。

  1. 給料アップが見込める
  2. 専門知識が深まる
  3. 復職や転職の際に役立てられる

役職に就けば得られる恩恵が多いので、対象となる方はぜひ積極的に受講を検討してみてください。

1.給料アップが見込める※ただし全員ではない

キャリアアップ研修を受講するメリット1つ目は、給料アップが見込めること。

具体的には「職務分野別リーダー」は月最大5,000円。「副主任保育士」「専門リーダー」は月最大4万円が支給されます。給料が底上げするため、手取りが少ない保育士にとっては嬉しい手当でしょう。

ただし役職枠に各園で人数制限があり、研修を受けた全員が役職を獲得できるわけでないので注意してください。

たとえば「職務分野別リーダー」の役職枠は園長と主任保育士を除いた職員の1/5程度、「副主任保育士」「専門リーダー」は1/3程度です。定員が90人、職員が17人の保育園の場合だと以下のような計算で役職枠の数を割り出せます。

キャリアアップ研修の役職枠

また、注意点がもうひとつ。それは、役職に就いたからといって全額支給されるとは限らないということ。

政府の取り決めにより副主任保育士等への配分に関しては、月額4万円の賃金改善を行う職員を1人以上確保することになっており、残りの配分は指定の金額内であれば保育園側が自由に決められます。

キャリアアップ研修の配当金の仕組み

つまり、上記のルールにのっとれば「副主任保育士A先生は月額4万円」「副主任保育士B先生と専門リーダーC先生は月額2万円」「職務分野別リーダーD先生は月額7千円」といった処遇改善のケースもあり得えます。

「満額もらえると思ったのに…。」と後から落ち込まないように、しっかりキャリアアップ研修の仕組みを理解しておきましょう!

とはいえ、キャリアアップ研修は保育士の処遇改善を目的として作られた制度なので極端に低く配当金を設定する園は少ないはずです。国の意図を汲み取って、保育士に還元するように努めている保育園が多いでしょう。

ぜひキャリアアップ研修を有効活用して、給料アップを目指してみてください。

2.保育士の専門性が向上する

2つ目のメリットは、保育にまつわる専門知識が深まること。

キャリアアップ研修は保育士の処遇改善のほかに「職員の資質・専門性の向上」を目的としているため研修が充実しています。

保育現場において専門的な対応が求められている「乳児保育」「幼児保育」「障がい児保育」「食事・アレルギー対応」「保健衛生・安全対策」「保護者支援・子育て支援」「マネジメント」「保育実践」の研修が用意されており、座学・グループワーク・ディスカッションなどの学習・体験をとおして理解を深められます。

また学んだ知識や技術を現場に還元すれば、関わる子どもや保護者、職員の幸せにもつながっていくでしょう。

3.転職や復職の際に役立てられる

3つ目のメリットは、保育士のキャリアアップ受講資格は、復職や転職の際にも役立てられること。

研修修了の効力は期限はなく全国どこでも有効で、退職と同時に消滅するものではありません。そのため転職や久しぶりに保育士に復帰した先の保育園でも、自分の実績や強みとしてアピールできます。

補助金の分配や役職の配置は園に一任されているため、必ずしも役職に就任し給料アップするわけではありません。しかし優位な条件で就職できる可能性は高まるので、受講しておいて損はないでしょう。

保育士キャリアアップ研修の対象者と新役職に任命されるための条件

顎に手を当て笑う保育士

なお保育士キャリアアップ研修を受けられるのは、ある程度の経験年数を積んだ人です。また就任するには一定の条件をクリアする必要があるので、それぞれの役職の要件を確認してみましょう。

就任条件に記載されている研修分野については次の章で詳しく解説します。

副主任保育士
主任の補佐をしたり、管理職とスタッフのパイプ役となって指示を出したりと運営や保育の質を高めていく役割。

【就任の条件】

  • 経験年数がおおむね7年以上であること
  • 職務分野別リーダーを経験 していること
  • マネジメント+3つ以上の分野の研修を修了していること
  • 副主任保育士としての発令されていること

専門リーダー
専門分野を極めた保育のスペシャリストとして、高いスキルを発揮しながら園全体の保育の質を高めていく役割。

【就任の条件】

  • 経験年数がおおむね7年以上であること
  • 職務分野別リーダーを経験 していること
  • 4つ以上の分野の研修を修了していること
  • 専門リーダーとしての発令されていること

職務分野別リーダー
特定分野の専門性を高め、他保育士の指導やアドバイスをする役割。

【就任の条件】

  • 経験年数がおおむね3年以上であること
  • 担当する職務分野の研修を修了していること
  • 修了した研修分野に係る職務分野別リーダーとしての発令されていること

※同じ分野に複数の職員に発令することも可能

保育士キャリアアップ研修の内容

パソコンを打つ保育士

キャリアアップ研修で用意されている講義は全部で8分野あり、研修時間は1分野につき15時間以上(2〜3日程度)が目安になっています。

各研修分野におけるねらいと講義の内容は以下のとおり↓

研修分野研修のねらい・内容
①乳児保育◎ねらい
乳児保育(主に0〜3歳未満児)の専門性を高め、他保育士に適切な指導や助言ができるリーダーを育成すること。
◎内容
・乳児保育の意義
・乳児保育の環境
・乳児への適切な関わり
・乳児の発達に応じた保育内容
・乳児保育の指導計画、記録および評価
②幼児教育◎ねらい
幼児保育(主に3歳以上児)の専門性を高め、他保育士に適切な指導や助言ができるリーダーを育成すること。
◎内容
・幼児教育の意義
・幼児教育の環境
・幼児の発達に応じた保育内容
・幼児教育の指導計画、記録および評価
・小学校との接続
③障害児保育◎ねらい
障害児保育の専門性を高め、他保育士に適切な指導や助言ができるリーダーを育成すること。
◎内容
・障害の理解
・障害児保育の環境
・障害児の発達の援助
・家庭及び関係機関との連携
・障害児保育の指導計画、記録および評価
④食育・ アレルギー対応◎ねらい
食育やアレルギー対応の専門性を高め、他保育士に適切な指導や助言ができるリーダーを育成すること。
◎内容
・栄養に関する基礎知識
・食育計画の作成と活用
・アレルギー疾患の理解
・保育所における食事の提供ガイドライン
・保育所におけるアレルギー対応ガイドライン
⑤保健衛生・ 安全対策◎ねらい
保健衛生や 安全対策の専門性を高め、他保育士に適切な指導や助言ができるリーダーを育成すること。
◎内容
・保健計画の作成と活用
・事故防止及び健康安全管理
・保育所における感染症対策ガイドライン
・保育の場において血液を介して感染する
・病気を防止するためのガイドライン
・教育・保育施設等における事故防止および事故発生時の対応のためのガイドライン
⑥保護者支援・ 子育て支援◎ねらい
保護者支援や子育て支援の専門性を高め、他保育士に適切な指導や助言ができるリーダーを育成すること。
◎内容
・保護者支援・子育て支援の意義
・保護者に対する相談援助
・地域における子育て支援
・虐待予防
・関係機関との連携、地域資源の活用
マネジメント
(副主任保育士の必須分野)
◎ねらい
マネジメント・リーダーシップ能力を養い、主任の補佐や他保育士の育成、メンタルヘルス対策ができる人材を育成すること。
◎内容
・マネジメントの理解
・リーダーシップ
・組織目標の設定
・人材育成
・働きやすい環境づくり
保育実践
(現場経験が少ない保育士やブランクのある保育士が対象)
◎ねらい
子どもに対する理解を深め、適切な保育や遊びの提供ができる保育士を育成すること。
◎内容
・保育における環境構成
・子どもとの関わり方
・身体を使った遊び
・言葉・音楽を使った遊び
・物を使った遊び

保育士キャリアアップ研修の受講方法と修了までの流れ

OKサインを出す保育士

では、保育士キャリアアップ研修の受講方法と修了までの流れをみていきましょう。

Step1.実施機関に申し込む
Step2.研修に参加する
Step3.課題を提出する

Step1.実施機関に申し込む

まず最初に研修の申し込みを行います。

保育士キャリアアップ研修は都道府県ごとに実施しており、実施主体は都道府県指定の団体や保育士養成施設、保育研修の実績を有する非営利団体です。

申し込みの進め方は、適任者を選んで園が手続きを行なうか、個人で申し込むかの2パターン。

もし個人で申し込む場合は、園に相談し許可をもらいましょう。新役職に就任できる人数は各園で異なるうえ、受講者の情報管理や修了証の送付先は基本的に園で取りまとめることになっているからです。

なお実施機関によって受講料やテキスト代がかかるので、個人で申し込む場合は研修費も考慮してエントリーしましょう。

Step2.研修に参加する

申し込みが完了したら研修を受講するわけですが、実施機関によって研修タイプが異なります。

〈研修タイプ〉

  • 集合型研修
  • オンライン研修
  • eランニング研修(パソコンやタブレットなどのインターネットを活用したオンライン学習)

従来は参加者が会場に足を運ぶ集合型の研修がメインでしたが、新型コロナウィルスの流行をきっかけにZoom研修やeランニングなどのオンライン型の研修も増えました。

なお、遅刻をすれば研修が修了できなくなる可能性もあります。時間どおりに参加できるように集合型研修の場合は会場の確認、オンライン研修の場合は視聴の動作確認を前もって済ませておきましょう。

Step3.課題を提出する

受講後は、指定された課題を実施機関に提出します。

課題は研修で学んだこと・今後の保育に活かしたいことをレポートにまとめる形が多いです。

15時間分の研修内容をまとめるのは大変なので、要点を整理しやすいように研修を受けながらメモを取ったり、大事な部分に印を付けたりしておくと良いでしょう。

提出した課題が無事に認められると研修修了者としてリスト登録され、そのあと都道府県から修了証が交付されます。

まとめ:保育士キャリアアップ研修を受けて処遇改善を目指そう!

というわけで保育士キャリアアップ研修は、若手・中堅保育士のキャリア形成に大きな影響を与える制度です。保育士の専門性を向上させるだけでなく処遇改善で給料アップも期待できるので、対象者は積極的に研修を受けるべきでしょう。

獲得した修了資格の効力は転職や退職をきっかけに消えることはありません。つまり全国どこでもキャリア構築が可能です。

まずは自分の興味のある分野の研修に参加して、少しずつ自分のキャリアを伸ばしてみてはいかがでしょうか?

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